エリザベートあらすじ
自由奔放に生きるマックス公爵と、ドイツ・バイエルン王女ルドヴィカの娘エリザベート(シシィ)は、詩や乗馬が好きな少女です。ある日木登りの最中、足を滑らせ落下して気を失ってしまいます。意識が遠のく中、美しい青年がベッドまで運んでくれている事に気づきます。その美しい青年が「死(トート)」だと悟りましたが、何にも縛られない自由な父親の面影を重ね彼に強く惹かれます。
母ルドヴィカの姉であるオーストリア・ハプスブルグ帝国皇太后のゾフィーと、息子のフランツ・ヨーゼフ皇帝はシシィの姉ヘレネとの縁談で集まります。しかし、フランツ・ヨーゼフ皇帝は姉ヘレナではなく、15歳のシシィに一目惚れをし結婚を申し込みました。おとぎ話のような恋にシシィも喜びますが、お妃教育を受けずに自由奔放に育ったシシィには苦しい宮廷生活となるのでした。
オーストリアのシェーンブルン宮殿で盛大な舞踏会が催されました。エリザベートの立ち居振る舞いが王妃としてふさわしくないと、皇太后ゾフィや参加者から冷ややかな目で見られます。連日の行事に疲れ切ったエリザベートが皇帝とワルツを踊っている時、突然音楽が止まり彼女の前に再び「トート」が現れました。彼は「お前と最後に踊るのは彼ではなく私だ」と告げて消えました。我に返ったエリザベートは、自分が宮廷という異質な世界で生きていく事に大きな不安を抱くのでした。
皇帝は忙しく留守がちでした。一人ぼっちのエリザベートは、皇太后による厳しい皇后教育により朝早くから夜遅くまで自由がありません。乗馬も禁止され、孤独で息が詰まりそうな毎日に耐えられなくなったエリザベートは皇帝に助けを求めましたが、母親である皇太后には何も言ってはくれませんでした。自分の味方はおらずとも「私は誰の所有物でもなく、私は私だけのもの」と王室に染まることを拒否するのでした。
結婚2年目に長女、3年目に次女を授かるも、育児も授乳も許してもらえず皇后の許可なしには娘に会うことが出来ませんでした。しかし、皇帝がハンガリー遠征する際、エリザベートに同行を願ったので、娘を連れていくことを条件に引き受けました。エリザベートの美貌と人柄は、ハンガリーの人々を魅了し、又エリザベートも自由な気質のハンガリーに居心地の良さを感じていました。しかし、長旅の疲れが災いし長女は病死してしまい、悲しみにくれる中、自分の傍で「トート」が「お前が私を必要としている。偽りの愛にすがり続けると、皇帝と帝国は闇に包まれるだろう。」と警告をしました。
徐々に敗退していくオーストリア帝国に人々は失望していく中、エリザベートは待望の皇太子ルドルフを授かりました。しかし、またも皇太后によって親子は引き離されてしまいます。窮地に陥り始めたオーストリア帝国の重圧に押しつぶされそうになった皇帝はエリザベートに温もりを求めます。そこでエリザベートは「息子を皇太后から取り戻してくれなければここから出て行きます。」と必死に訴えましたが、皇帝は母親に逆らうことは出来ません。夫に絶望すると「死」が「苦しみから救ってやろう」と囁きかけてきました。しかし、エリザベートは「自由になる為に私の美貌を武器にする」と自らの容姿と体を徹底的に磨きあげました。するとヨーロッパ中が彼女に魅了され、力を持ったエリザベートは王室をも屈服させていくのでした。エリザベートの虜となった皇帝は彼女の要求に応えるべく、息子を皇太后から取り戻しました。
王室の権力を握り、人生の絶頂期の中にいたエリザベートに「今の満ち足りた時は長くは続かない。なぜならお前は私を愛しているから。」と「トート」が不敵な笑みで立ち去った。
念願の息子を取り戻したエリザベートでしたが、自分の思うようになった今、息子や王室に興味を無くしていきました。王室を離れ居心地の良いハンガリーの宮殿にこもるようになります。母が恋しいルドルフは寂しさから「トート」に親しみを覚えるようになっていくのでした。
息苦しい王室から離れても、心が満たされず虚無感を抱き続けるエリザベート。身分に偏見を持たずに色んな人と接することが得意な彼女は、精神病院での社会奉仕活動に興味を持つようになります。そこで拘束されている女性患者から「私こそが気高く皇后にふさわしい。お前の方が精神病患者だ。」と罵声を浴びせられました。体は拘束されても自由で無垢な心の女性を見て、周りから批判されようと気高く心のまま生きていきたい、これからも望まない偽りの人生を歩み続けなくてはならないのかと不安に狩られました。
エリザベートに心酔し、彼女に近い人物ばかりを政治の役職に起用する皇帝に不安を抱く皇太后と側近達は、皇帝に愛人を儲けさせ、エリザベートから遠ざけようと行動を起こします。愛人候補を売春宿から連れてきた為、皇帝はエリザベートに梅毒をうつしてしまいました。夫の不貞にショックを受けたエリザベートは「死にたい」と口走る。その言葉を待っていた「トート」が現れ最後の決断を迫るも、エリザベートは王室や夫との決別の時がやってきたのだと捉え自由を求めて流浪の旅に出る。
オーストリア帝国の為、息子ヨーゼフ・フランツを皇帝に就かせ、皇后として務まるようエリザベートを厳しく教育したものの、王室の義務を果たさず自分達の欲望に突き進む息子夫婦に絶望しながら皇太后は息を引き取った。
好きな乗馬や詩にのめり込み心の安住を求めて旅を続ける妻エリザベートを案じて、皇帝は毎日のように手紙を送り続ける。その間に、息子ルドルフは青年へと成長していった。君主制ではなく、自由主義的な思想の持ち主であった為、王室や父である皇帝と対立を深めて孤立していく事になる。精神を病んだルドルフは、ウィーンに戻ったエリザベートに皇帝との橋渡し役をねがい出るが、王室と関わりを断ちたい彼女は息子の願いを拒んだ。絶望の淵にたたされたルドルフは、「トート」の接吻を受け入れ拳銃で自害しました。自分が自由を求めたように、同じ自由を願った息子は自分の生き写しだったのだ気づき嘆き悲しむエリザベート。
息子や両親、姉妹と次々に亡くしたエリザベートは悲しみの余り、残りの生涯を喪服で過ごすようになる。晩年のエリザベートは夫とも違う道を歩む中、ハプスブルグ帝国は滅亡の時が近づいていた。1898年、蒸気船乗り場へ向かっていたエリザベートは突然男にヤスリで胸を突き刺された。意識を失い、闇の中陽の光に目覚めると少女の頃みた「トート」の姿が。過去を忘れ、心の安住の地での再開を誓い「トート」と深い口づけを交わした。
エリザベート暗殺から18年後皇帝フランツ・ヨーゼフ崩御。そしてその2年後にハプスブルグ帝国は崩壊し、帝国内の各民族は独立を果たし、中央ヨーロッパに新しい時代が到来しました。
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